2011年11月16日
日本に研修生を招聘し、2011年9月26日から10月7日に行われた収蔵品管理研修と10月3日から10月14日に行われたIPM(殺虫処理)研修の帰国報告会を11月13日および11月16日各々GEM-CCライブラリーにて行いました。
収蔵品管理研修は、GEM-CCが文化財の受入れから、整理、所在管理、文化財にとって適切な環境の維持管理まで行っていくシステムづくりをサポートする目的の実践的な研修です。
現在までにGEM-CCには、エジプト各地の収蔵庫から移送された、約1万点の文化財が収蔵されています。近いうちには、さらに9万点の文化財が、エジプト博物館や各地の収蔵庫から運ばれてくる予定になっています。
この研修では、国立民族学博物館の久保正敏教授、園田直子教授、日髙真吾准教授および和髙智美氏(合同会社 文化創造巧芸)、河村友佳子氏(河村文化財保存環境リサーチ)、橋本沙知氏(橋本文化財企画)を中心とした講師陣のご指導のもと、GEM-CCに所属する学芸員2名、保存修復スタッフ2名と文化財データベースを扱うADDのマネージャー1名が参加しました。研修の終盤では、収蔵品管理をどのようにGEM-CCで進めていくかについて、実践的な計画(アクションプラン)を立てました。
帰国報告会では、ムハンマド・ゴネイム氏 (GEMコンサルタント)、オサマ・アブ・ヘイル氏(GEM-CCエグゼキティブ・ディレクター)、フセイン・カマル氏(GEM-CCテクニカル・ディレクター)とGEM-CCのスタッフが参加し、研修生が作成した、アクションプランの発表を行いました。
収蔵品管理のアクションプランは、10の項目に分かれています。1)データベースの運用、2)文化財番号、3)収蔵棚に番号、4)文化財の状態調査、5)収蔵庫管理で必要なIPM(有害生物管理)の導入、6)収蔵庫内の環境管理、7)文化財の配下方法、8)殺虫処理、9)学芸員への遺物の取り扱いワークショップの実施、10)収蔵品管理に必要な資機材購入のための予算計画
これらの項目を今回の研修参加者5名が中心となって、GEM-CCスタッフが協力して実施していく予定です。ADDのスタッフも文化財の所在管理をサポートしていきます。
IPM(殺虫処理)研修に参加したGEM-CCで殺虫処理を担当する4名は、本邦研修で学んだ内容と殺虫処理に関するアクションプランを発表しました。
主に国立民族博物館にて実施された殺虫処理研修では、同博物館の園田直子教授、日髙真吾准教授、三浦定俊理事長((財)文化財虫害研究所)、川越和四顧問(イカリ消毒(株))、和髙智美氏(合同会社 文化創造巧芸)、河村友佳子氏(河村文化財保存環境リサーチ)、橋本沙知氏(橋本文化財企画)から、二酸化炭素ガスによる殺虫処理や窒素を用いて低酸素状態で殺虫を行う方法に加え、日本の博物館におけるIPMの実践方法について講義や実習を行いました。
研修の後半では、GEM-CCにて二酸化炭素ガスを用いた殺虫処理をどのように実践していくかについて話し合い、アクションプランを作成しました。
この日発表会では、GEM-CCの殺虫処理の実践や実験について、研修生から発表がありました。
実習風景:博物館資料の点検方法を実際の資料を用いて実習をしました。
実習風景:二酸化炭素を用いた殺虫処理に用いる機材の使用方法を学びました。