2011年11月20日
11月20~23日に、エジプト国で、大エジプト博物館保存修復センター(GEM-CC)の保存修復師と科学者に向け、第3回有害生物管理研修が行われました。本研修では、三浦定俊氏(公益財団法人文化財虫害研究所理事長)、高鳥浩介氏(NPO法人カビ相談センター理事長)、川越和四氏(イカリ消毒株式会社顧問)に前2回に続いて講師をご担当いただきました。
研修は講義と実習に各々2日間をかけ、講義はGEM-CCの図書室で、実習は2つのラボ(微生物ラボ、重量物ラボ)で行われました。二酸化炭素くん蒸の実習では、参加者らが二酸化炭素を設定する方法や殺虫処理用機材について学びました。微生物ラボではカビや細菌の培養、同定、観察と防カビ・防菌テストの実習を行いました。
今回は、参加者らがこれまで日本とエジプトで行われた研修で学んで来た知識と技術を活用しながら今まで以上に熱心に学んでいました。また、講師はGEM-CC のスタッフに対して研修で扱った内容を実際のGEM-CCの活動の一部に実践するようにアドバイスをしました。例えば、虫などが入口から入らないように、スタッフが出入りする度に扉をきちんと閉めたかどうかの確認が必要、といったことです。些細なことから配慮していくことがIPMでは非常に重要です。研修生たちが非常に協力的で熱心であったため、講師の方々はとても誇りに感じたとのことでした。
本研修の目標は、GEM-CCで働いているエジプト人の保存修復師と科学者がこれから適切な環境で文化財を保存し、殺虫処理する際、なるべく人体や環境に有害な化学学物質を使わない、最も適切な方法を採用していくことです。
研修生はミイラを置いている素材の一部からサンプルを取り、微生物ラボで微生物が付着しているかの確認をする実習を行いました。(左:微生物ラボ、右:ミイララボにて)
質疑応答の時間では、研修生からたくさんの質問がありました。(GEM-CC図書室にて)