プロジェクト名
(日)大エジプト博物館保存修復センタープロジェクト
(英)The Project for the Conservation Centre in the Grand Egyptian Museum
対象国名
エジプト
署名日(実施合意)
2008年4月3日
プロジェクトサイト
大エジプト博物館保存修復センター(スザンムバラク道、レメーヤクラップ裏、ギザ)
協力期間
2008年6月22日から2016年3月31日
フェーズ1:2008年6月22日から2011年6月30日(準備フェーズ)
フェーズ2:2011年7月1日から2016年3月31日(実施フェーズ)
相手国機関名
首相府考古庁大エジプト博物館
プロジェクトの背景
エジプト国(以下「エ」国)の主要博物館であるカイロ博物館の老朽化に伴い、「エ」国政府は大エジプト博物館(以下、GEM)の建設を決定し、2015年3月の完成を目指している。2003年5月の首脳会談にて博物館建設に係る協力要請を受け、我が国は円借款により本体工事を支援を行っている。(2006年5月にL/A締結)「エ」国側は博物館の着工に向けて詳細設計を実施中であるが、大規模な博物館建設設計に関するノウハウ及び経験が「エ」国側には不足していることから、JICAは2006年2月より11月まで詳細設計アドバイザーを派遣し詳細設計を支援した。
GEMにはオープン時に5万点、最終的には10万点の収蔵文化財が予定されている。これら文化財は、エジプト政府が2010年に設立したGEM保存修復センター(以下、GEM-CC)へ移送が開始された。「エ」国は基本的な文化財の管理・保存修復能力は有しているが、これまでの不適切な管理・保存修復のため劣化の著しい文化財や、脆弱な文化財の保存修復に必要とされる技術は十分でない。また、博物館や収蔵庫にて適切な保存・展示環境を設定・維持管理する技術も十分でないため、日本の保存修復技術の協力を要請した。
目標
上位目標:
GEM設立の究極的な目標は、文化財の展示の場としての機能だけでなく、理論的・実学的なエジプト学のグローバル・センターを設立することである。
GEM-CCの目的は、本センターが中心となってGEMの収蔵文化財のみでなくエジプト全体の各種文化財の保存修復を進めると共に、保存修復作業に携わる人材育成(エジプト全域、更にはアラブ諸国並びに北アフリカ諸国の人材)を実施することである。本プロジェクトの上位目標は、以上を実現することである。
プロジェクト目標:
GEM-CCが自立的に運営され、国際的に認められる水準にある総合的な保存修復・研究機関として機能する。
成果
以下の項目について各種手法をもって技術移転・人材育成を行う。
- GEM-CCの組織運営方針の確立
- GEM-CCスタッフの保存修復に関する知識および技術が向上する
- 収蔵品データベース構築のための体制が整備される
以下の項目について助言を行う。
- GEM-CCの管理運営にかかる助言
- 収蔵庫の施設と管理運営にかかる助言
- GEM情報センター(GEM-IC)設立にかかる助言
活動
- GEM-CCの組織運営にかかる協力
- 組織運営にかかる助言
- 日本や世界の類似組織における経験を紹介する
- GEM-CCの人材育成に係る協力
- キャパシティ・アセスメントシートの作成、定期的能力コンサルテーションの実施
- 研修教材を作成する
- 研修プログラム作成、実施、評価
- 研修を通じて作成されたアクションプランの実施にむけた助言
- GEM-ICの設立にかかる協力
- GEM-ICのスタッフが配置され、組織が設立される
- ADD(遺物データベース部)の業務をGEM-ICに適切に引き継ぐ
- GEM-ICの業務に対する助言
投入
日本側投入:
- 専門家派遣(長期・短期):チーフアドバイザー、業務調整/研修、テクニカル・チーフアドバイザー(保存修復)、保存修復研修計画、IT(データベース)、その他研修プログラム実施のための講師
- 研修に必要な機材供与
- 現地研修プログラム実施費用
- 日本および第三国での研修
- 日本国内における支援委員会の設置
相手国側投入:
- カウンターパートの配置:GEM-CCセンター長、GEM-CC各部門長、管理部門を含めたGEM-CCスタッフ、GEM-ICのスタッフ、研修コーディネータ
- オフィススペースの提供
- 電気、水道、電話、インターネット環境
- 保存修復業務に必要な機材
- 消耗品