2010年4月22日

 エジプトの外交官研修所で講演しました

 2010年4月18日、エジプト外務次官の依頼により、チーフ・アドバイザーの中村さんがプロジェクトについて1時間半にわたる講演をしました。

 講演は、外務省のすぐ横にある外交官研修所(Institute  for Diplomatic Studies)で行われ、これから海外赴任の予定の若手外交官13名が参加しました。

 講演は、外務次官によるオープニングの挨拶と中村さんの自己紹介で始まり、続いて、大エジプト博物館(GEM)を建設する理由と概要、それに付属する保存修復センターの意義と概要が写真を交えて説明されました。その後、プロジェクトの大きな流れと、これまでの成果、今後の活動予定が紹介されました。

説明の途中で、正確なデータベースを作るために、数字の書き方から統一させたことや調査にあたる収蔵庫の雑然とした様子など、プロジェクト活動中に出会った具体的な課題について、参加者はとくに興味を持って聞き入っていました。

 また、日本には実は、正倉院という世界最古の保存修復センターがあることや、正倉院にあるトンボ玉が日本とエジプトとの最初の交流の証であること、明治維新直前にはサムライがカイロを訪問していたことなど、日本とエジプトの関係ははるか昔にまでさかのぼることが強調されました。 

質疑応答では、円借款によるコンサルタント契約の遅延や保存修復センターの職員配置の遅延、不正確な文化財データベースの修正のほかに、どのような課題があるのかという核心をつくような質問が出されました。これに対して、中村さんから、各関係機関がGEMについて共通の理解をもっておく必要があるだろうとの回答がなされました。

最後に、「よい外交官になるためには自国の歴史をまず勉強してください」との中村さんの言葉に、みな目を輝かせて大きくうなずいていました。古代エジプトの歴史を伝えるGEM設立の重要性を改めて感じる講演でした。

(松田.真由美)

    オープニングであいさつする外務次官と参加者                
トレーニングコースについて説明する中村さん