2010年2月28日

 2フェーズの詳細計画策定調査団が来ました

 2010年2月21日から25日までプロジェクトの第2フェーズ(本格フェーズ)の計画策定のための調査団が来ました。

 調査団メンバーは、前川さん(JICA都市・地域計画第一課課長)、山内さん(国立文化財機構東京文化財研究所地域環境研究室長)、松田さん(東北芸術工科大学)をはじめとする5名で、エジプト側の執行部とGEMの実施体制等の確認を行い、第2フェーズに向けての詳細な計画の打合せが行われました。 

プロジェクトはこの1年半、技術協力のカウンターパートとなるGEM-CCの保存修復師の採用が進まなかったために準備段階にありましたが、本年度は本格協力となる第2フェーズへ以降の予定です。今回の協議で、エジプト側がGEM-CCに必要な人材を配置して開館することが出来次第、フェーズ2に移行することが合意されました。それまでは、2011年3月末を限度として、フェーズ1が延長されることが決まりました。

また、今回の協議では、11月の専門家による現地調査に基づいてつくられた人材育成計画案が提出され、その内容が合意されました。これはGEMに展示される予定の文化財が各地の収蔵庫から移送されて展示・保管されるまでの過程で必要とされる様々なスキルを身につけられるような包括的な人材育成プログラムで、フェーズ2で実施されます。それまでは、総合的有害生物管理や燻蒸、移送梱包など、特に優先順位の高い分野の研修を引き続き実施することになりました。 

ADDによるデータベース構築作業については、スピードアップするようエジプト側から強い要請がありました。しかし、作業がなかなか進まない原因はエジプト側によって必要なアレンジメントがされていないためで、とくにエジプト考古学博物館で活動ができないでいることです。エジプト側の適切なアレンジメントと準備ができれば、スピードアップが可能であることを説明しました。一方でエジプト側からは、ADDによるデータベース構築作業への支援をGEMが一部開館する2012年まで継続してほしいとの要望がありましたが、日本側は2011年4月以降についてはエジプト側に作業を引き継ぐ考えであることを伝えました。

全体として、この調査団に対応するためエジプト側のメンバーに新しい担当が加わり、人材育成計画等について相当突っ込んだ打合せが出来るのではないかと期待していましたが、今までのメンバーと変わりなく、期待はずれに終わりました。専門家レベルで協議を行うテクニカル・ワーキング・グループを設置することを提案しましたが、エジプト側の反対にあい、R/D案については協議する時間が無く署名は先に持ち越されました。今後も引き続き、粘り強い対応が必要です。 (了)

ザヒ最高考古評議会長官と意見交換する調査団